第14話 「飼い殺し」の刑

★2004年12月15日ブレシア戦前にオフィシャルサイトが設けた記者会見は、「ココのセリエА復帰予告」と誰もが受け取りました(第13話)。ところが、肩透かし。その試合は、控えのパスクアーレも出られず、マンチーニ監督は、右サイドバックのサネッティを左にコンバートし、ゼ・マリアを右サイドバックにもってきました。

★年が明けて2005年1月5日、監督は、ガゼッタのインタビューでココの出場機会について聞かれ、「ココは体力的には十分回復しているが、もっと試合に出場してコンディションを取り戻す必要がある。ココかパスクアーレのどちらかは、1月の移籍市場でポジション争いが少ないチームに出ていったほうがチャンスを得られるだろう」と語りました。

★一方で、ココは1月12日と27日のコッパイタリアのボローニャ戦・アタランタ戦にフル出場し、メディアから及第点をもらっていました。interfans.org(現地のインテリスタ掲示板)でも、ココがよい出来であったことが話題になりました。

★1月13日、インテルはパスクアーレをシエナにレンタル。ココにも、スコットランドのグラスゴーレインジャーやセルティック、イングランドのクリスタルパレスが関心をもっているという噂がありましたが、パスクくんが出ていった今、ココは残るしかないと思われました。ところが、ココの代理人は、1月末になってもココがインテルを出る道を探っていました。私は、試合が過密になるインテルではココにもそれなりに出場機会が訪れると信じていたので、代理人がクリスタルパレス移籍をインテルに打診しているというニュースを読み、首を傾げました。後になって、それがココの意思であったことがわかりました。
このときすでに、ココはマンチーニ監督との関係に失望していたのでしょう。代理人は今後も出場機会がないのであれば、レンタルしてくれるようにインテルに要請したのかもしれません。それに対するインテルの回答は、「インテルの左サイドバックはココとファバッリだけだ。放出するつもりはない」というものでした。これは、クラブの方針を示した重要な回答でした。そのとき、代理人がその回答をメディアに流したのは、マンチーニ監督へのアピールだったというのは今だからわかることです。

★コッパイタリア出場のあと、監督はココを招集しておきながらベンチからはずし、私たちをイライラさせました。しかし、とうとう2月6日パルマ戦、セリエA復帰のチャンスはやってきました。今回は、監督自身が、事前にココの出場を予告(モラちゃん命令でも下ったのか?)。

★やっとテレビでココが観られる!! 私たちは、テレビの前に正座する意気込みでした。ピッチの上のココを見る感激! しあわせでした。
さて、この試合、ココは張り切りすぎたのか、ジラルディーノへのタックルであわやペナルティキックかというシーンがあったり、ディフェンスミスが目に付きました。おまけに、途中マテラッツィが赤紙をもらうというハプニングが起こり、ココはセンターバックに。ハーフタイムの間、オフィシャルサイトラジオのイタリア語がしきりにココのことを言っていたので、もしかしたら、と思っていたらやっぱり後半はミハイロビッチに替えられてしまいました。COCO fanboardは、がっくり。でも、ココらしい光るプレーもあちこちで見られ、「これからだ」という期待もふくらみました。

★ところが、ココはそのあと1か月間、右膝の負傷でリハビリに入ってしまいました。明けた3月13日のラツィオ戦、後半13分から出場。たった30分間でしたが、落ち着いた地道なプレーができました。惜しいシュートもありました。次のCL(パスクくんが抜けてリスト入り)のポルト戦も、ファバッリさん欠場のため、ラツィオ戦をよく戦ったココの出場が予測されていました。でも、なぜか招集されませんでした。

★必ず監督に認められると(無理して)信じてきた私でしたが、その後、「招集なし」「ベンチ落ち」が続くのを見て、ようやくココは嫌われているのだと理解しました。4月9日のボローニャ戦のフル出場を最後にココは6月15日のコッパイタリアのファイナルまで、ベンチ入りさえ許されませんでした。
シーズン終盤に人のやりくりがつかなくなって、左サイドバックにどうしてもココを使わなくてはならなくなった試合で、マテラッツィがコンバートされたときには、もう笑うしかありませんでした。

★ココは数少ない出場機会にそれなりのプレーを見せていました。日本の実況でも、ココを見たアナウンサーが「試合勘が戻っていないわけではないんですね」と怪訝そう言ったものです。interfans.orgでは、ココとマンチーニ監督が殴り合ったという噂も流れました。「マンチーニがココを嫌いなのは、彼が美しいからだ」というジェラシー説を書いた人もいました。とにかくココが起用されない理由は、技術的な問題ではなく、ふたりの「関係」であったことは、もはや明らかでした。
でも、それがわかるまで、どれほど悩み苦しんだことか。毎試合、招集先でベンチから外されたことを知るつらさ。はらわたが煮えくり返って佃煮になりそうでした。

★絶望の淵をさまよった03-04シーズンに続き、04-05シーズンがこんなに辛いシーズンになるとは、まったく信じられないココの運命なのでした。

[おまけ話]

このシーズン、私は毎日インテルのディフェンダーのコンディションを細かくチェックしていました。「どう考えても、ここはココだろう」(笑)というときも、マンチーニ監督はココを避けました。それはまるで、ココがコンディションを取り戻すことを恐れているかのようでした。たとえ、そうではなかったとしても、選手生命のピンチからかろうじて生還し、並み以上のパフォーマンスを見せている選手に、チャンスさえ与えない冷酷さは、尋常ではなかったと思うのです。

第15話につづく)

(02-03)第1話 運命の再会  第2話 期待がいっぱい  第3話 だめだめなココ  第4話 復活の兆し  第5話 クーペルさんの疑念

第6話 月夜に走ったエスプレッソ  第7話 海を渡って届いた「無念」  第8話 1試合だけの復帰  第9話 最高の男!

(03-04)第10話 苦難への誘い  第11話 手術室で奪われた未来  第12話 ここはどん底?

(04-05)第13話 愛されないということ 第14話 飼い殺しの刑  第15話 波乱の就職劇

(05-06)第16話 トスカーナに甦る

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