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★テレビとパソコンを消せば目に入らなくなるけれど、世界の現実は確かに存在します。私たちは海の向こうで起こっていることに無関心であってはなりません。で? イタリアのミラノという街で、高級車を乗り回すサッカー選手が、思いがけない挫折にあい、自業自得のスキャンダルにまみれ、キャリアをフイにしようとしているからって、どうしたというのか。そんなのは、見ちゃおれんと思うなら、見なければいいのだ。
そう思っても、パソコンを立ち上げた瞬間、インテル・オフィシャルサイトを見に行ってしまう私。「ひょっとしたら、今日はチームに復帰しているかも」と、ほのかな期待をいだきながら…。でも、彼の名前はいつもリハビリ組の中に沈んでいました。そうして、03-04シーズンは暮れていったのです。
★レリチ事件のことは、いつの間にか「きっと彼女が無理に誘ったのね」と都合のいいように考えていました。2004年5月16日の最終節エンポリ戦が終わると、チームはバカンスに突入。こんなわけのわからない状態で移籍シーズン? どうなるの? とドキドキしていると、きました、きました。たくさんのココニュース。ココとマヌエラの関係を取り沙汰するゴシップが続々と…。
ふたりの関係が冷えた、どちらかが浮気した、どちらかが「まだ愛している」と言った…そんな話が、6月から8月にかけて、飽きもせず流れ続けたのです。
★それにしても、ゴシップニュースは、不自然なほどココのキャリアの問題を無視していました。03-04シーズンたった4試合しかプレーできず、移籍シーズンを前にチーム練習にさえ復帰できなかった選手がどうなるのか、考えれば考えるほど暗くなりました。そんな重大な危機に直面しているというのに、ゴシップニュースはココをただ「インテルのディフェンソーレ」と書くだけで、彼のサッカー選手としての立場については、いっさいふれませんでした。彼の今を知りたくてゴシップニュースを開いても、どうでもいいつくり話を読まされるだけ。真実は遠くネットの向こう側にあって、のぞくことはできなかったのです。
やがて、ふたりが夏のバカンスを別々に過ごしたという事実が、悲しい結末を明らかにしました。メディアは破綻の原因だの、実はどちらかがまだ未練があるだの、ココが嫉妬しているだの、好奇の目で書き立てました。COCO
fan boardで私たちはゴシップをネタにおちゃらけてましたが、本人は、生まれて初めて「失恋」に直面していたらしいのでした。
2004年の夏、フランチェスコ・ココは公私ともにどん底に落ちていました。
★一方、インテルは夏の移籍市場で左サイドバックにラツィオからファバッリを補強しました。ココよりちょうど5歳年上で、地味な選手でした。即戦力でしたが、ココが復帰したらバックアップになっても不思議ではない人材に見えました。ザッケローニ監督はココを一番に信頼しているし、インテルは信頼できる控えを用意して、ココをゆっくり復調させてくれるのかもしれない、と期待がふくらみました。
★ところが、2004年6月15日、インテルは「ザッケローニ続投」を発表した舌の根もかわかぬうちに、突然彼を解任したのです。正確には、辞任したのですが、辞任に追いやられたことは明らかでした。ザッケローニ監督は、「いろいろと言われたが、幸せだったよ」と語り、「私から辞表を提出したんだ。私を信頼してくれていたファケッティ会長には申し訳ないが、こういうクラブの状況では監督を続けることはできない。誰も、移籍市場のことを私に伝えてこようとはしなかった。ファバッリの加入も、ヴェロンのレンタルも、私が望んだものではない。どこかの誰かさんの希望なんだろう。こういうクラブの状況は異常だと思う。だから、私は辞任することにしたんだ」とクラブの内情を暴露しました。
やがて、インテルはラツィオともめにもめた揚げ句、ようやく念願のマンチーニ監督を引き抜くことに成功。2004-2005シーズンのチームの練習が始まる直前でした。すでに2004年1月に移籍していたスタンコビッチ、そしてファバッリ、ベロン・・・マンチーニ監督がラツィオでレギュラーとして起用してきた選手たちでした。その後、やはりラツィオからミハイロビッチの加入も決まり、ラツィオ色に染まるインテル。この流れが、ココにとって何を意味するのか、わかったのは、ずっと後のことでした。
[おまけ話]
5月22日、イタリア版コスモポリタン誌「14人のカルチャトーレの裸像」特集の中に、ココがいるというニュースが流れました。自分の将来が見えないときに何やってんだ? とびっくり。記事の紹介文句は、「イタリアカルチョのいい男の理想の肉体が『コスモポリタン』誌に満載された。彼らは、カメラマンのパスクアレ・ロッソの前で、汗に光る筋肉と完ぺきなフォルムを見せ、さらに自らのプライベートな話も語っている。」と。そして、ネットに公開された撮影風景映像ではココがトップを飾り、一番長く映る活躍。そのあまりにプロフェッショナルなモデルぶりに、「やっぱり転職ですか?」とつぶやくしかありませんでした。
(第13話へつづく)
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